テレワーク開発の最前線インタビューvol.3

SBIトレードウィンテック株式会社
執行役員 証券システム本部長 西川晶様
第二グループ長 稲田昭仁様
マネージャ 加藤純子様

テレワーク型の開発を始めた背景と経緯

−− テレワーク型の開発を取り入れた背景について教えてください。

加藤 もともとオフショア開発を行っていましたが、言葉の面や、認識が合わない、文化が違うなどの面から考えると、日本で開発をした方がコスト的にはいいのではないかという結論になりまして、ニアショア機構から候補企業をご紹介いただいて、スタートしました。

−− 現在どういったシステム開発を行っていて、どのような開発体制になっているのでしょうか。

加藤 当社の中で、プロダクトが分かれています。その中で一番とりかかりやすいものから入っていただきました。
証券システムは、フロントシステムとバックシステム、インターフェースシステムと3つの区分けがあります。そこのフロントシステム部分、当社ではCOMETという名前で提供しているのですが、フロントシステムとインターフェースシステムの開発から入っていただきました。
その時からの構想としては、ゆくゆくは3つの全てができるようになれば、ニアショア開発活用の大きなメリットが出ると考えて進めてきた経緯があります。

−− フロントから始めたというのは何か意図があるのでしょうか?

加藤 一番は環境的な面で、開発環境の作り方が一番入りやすいということがあげられます。
また、バックシステムは証券固有の用語やロジックがあるので、フロントより難易度が上がるということも理由の一つです。

−− 最初のプロジェクトは4月からだったとのことですが、助走期間はありましたか?

加藤 助走期間は1カ月もありませんでした。準備の方向性としては、今後同じようにニアショアでお願いする会社が増えたとしても、環境面の構築がやりやすい方法を選択しました。

コミュニケーションは電話を重視

−− コミュニケーションについてですが、現在どのような手段で、会議体はどの様に設定していますか?

加藤 今回は、電話も直通ラインを作っていただきました。受付の方を通さずエンジニアの方が直接出ていただき話ができるので、円滑なコミュニケーションが図れています。以前オフショアで は通訳が入っても伝わらないことが結構ありましたので、格段の違いです。

稲田 最初は毎日時間を決めて、15時から、PC上のボイスチャットでの会議を毎日行っておりました。進捗状況と設計開発上のQA、質疑応答などです。最近は慣れてきているので、毎日は会議体を持っておらず不定期で、基本は電話で行っています。

開発環境のセッティングにはひと苦労あり

−− テレワーク開発を行うために、社内の規則の変更や関係部署との調整は必要でしたか?

加藤 いくつかありました。ファイアウォールを開けるところは、オフショア開発でもやっていましたので、一部限定での対応として社内に申請し、セキュリティ部門の確認程度で大きな手間にはなりませんでした。

稲田 バックシステムに限ったことですが、開発の手法がフレームワーク化している部分があり、独自の手順というのがあるので、伝えるのに苦労しました。今後はそのあたりを踏まえたマニュアル化、ドキュメント化を進めていく必要性を感じました。

−− テレワーク開発先で使用している開発環境やPCについて教えてください。

稲田 PCは開発会社側で用意していただいています。開発環境は、Eclipse、 Trac やVisual Studio、Gitを使った分散環境となっておりますが、資産性が高い開発案件については、VPNを介したリモートデスクトップ機能使って弊社のPC環境に直接接続していただいています。

加藤 環境構築をある程度整え、いざ使ってみるとあれができない、これができないというのがいくつか出てきました。ポートも開けているのですが、実は足りないということもありました。
現在はすべての環境構築の流れができたのでスムーズになり、苦労した甲斐がありました。

開発の進め方は常駐と変わらない

−− 開発の工程はどこから担当いただいていますか?

加藤 開発は設計が当社で、詳細設計書の作成、製造をお願いする形です。
設計書もSVNを極力使うようにして、すべてのドキュメントを今はリアルタイムで使えるようにしました。

−− テストやレビューはどのようにされていますか?

稲田 テストは、いわゆるユニットテストで、Javaで言うとJUnitです。検収者が同じように実行して同じ結果が得られるような形のテストと、あとは帳票など見栄えを確認しないといけない部分では、手動のテストで証跡を貼ってもらって確認するという形で、レビューしています。

−− オフショアでも同じことだと思いますが、生産性の把握はどのようされていますか?

加藤 基本的にWBSの進捗を見ています。タスクの工数もこちらで見積もりします。ただ、それを押し付けるのではなく、作業者の方にも見積もっていただき、あまりにも乖離があるような場合は、議論して合意して進めています。また、日々全員に作業報告書をお願いしています。その日行ったことや問題点は書いていただくようにしています。

−− 本日はお時間いただきまして、ありがとうございました。